2014年03月04日

お客様からの学び

2-130708お仏壇ものがたり

 拙著『お仏壇ものがたり』の原稿には思い切って削除したお話がいくつかあります。その一つ、30年程前の兵庫県のお寺さんからの教訓を紹介します。

 私たち仏具店も、競争でご縁をいただけないことも当然あります。当時、ご注文をいただけたお客様、いただけなかったお客様を事例に毎月勉強会を実施していました。

 当社は業界の中では価格が高いことから、ほとんどの場合は価格を理由におっしゃいます。決定段階までには1年以上のお付き合いをいただくことが多く、お客様も断り文句には担当が落ち込まないよう気遣ってくださいます。お客様は、良いことはおっしゃってくださるのですが、良くないことはなかなか本心を語ってもらえません。

 担当からの報告によると、「小堀さんの仏具はよかったのですけどね〜、担当のあなたも親切にしてくれたのですけどね〜、やっぱり価格が高かった。うちのお寺ではムリだったんです」

 兵庫県のお寺様はご注文をいただける手ごたえがあったのですが、結果はこんなご返事でした。

 後に偶然別席で、こちらのご住職様とお会いする機会がありました。思い切って、「なにか当社に不十分なことでもございましたか?」とお尋ねすると。

 実は…、と思い口を開いてお話くださったのでした。「私は、ず〜っと小堀さんで購入すると決めていました。寺の役員5人を連れておたくのお店に下見にいきました…」 

 冬の寒い日曜日に突然のご来店でした。考えられないようなことが起こってしまったのです。
 3階の展示場に案内されたが、寒いのに暖房もつかない。応接室があるのに通されない。お茶もお菓子もでてこない。担当も責任者も応対しない。

 このときにお寺の役員さんから出た言葉が、「住職は小堀、小堀というけれど、小堀は住職を相手にしてないじゃないか!」「大きな買い物をするというのに…、せっかく京都まできたのだから他に仏具店はないのか」ということになったのです。

 お昼を食べながら相談をされ、他の仏具店に電話で事情を説明、そちらのお店にも下見に行くことになりました。するとそのお店では、暖房が入って部屋が暖められている。応接室に通される。お茶お菓子がでる。店長が応対する。当社とまったく反対の応対だったのです。この瞬間にこちらのお店に決定されたのは当然のことでした。

 なぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか。後にも先にもこのような事例はありません。事前の連絡がなく突然のご来店だったのですが、それは理由になりません。起こったことは事実です。

 私たちの基本姿勢にはお褒めをいただくことが多くあります。ありがたいことです。しかし、これでお喜びいただける接客レベルに充分に達したと満足していたのではないでしょうか。慢心な気持ちがあるとその瞬間から退歩が始まります。心の片隅のどこかにそんな想いがあったのではないでしょうか。

 お釈迦様の教えは自己抑制です。慢心せず常に自分を磨くことが求められます。兵庫のお寺様が教えてくださったのです。お客様からいただいた教訓に感謝しなければなりません。


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