2007年04月09日

京仏具の実態

小堀京仏具工房の材木 弊社工房内の材木置き場です。

 京仏具は、ひのき・杉・けやきなども使いますが、主材料は松です。

 仏具の品質は、材料購入、材料乾燥、そして材料の使い方から始まります。

 京仏具を扱うどこの店も、「品質にはこだわりをもってます!」と、いいます。

 しかもみんな、自店がイチバンこだわっていると思っているから困ったもんです。

 “高品質の仏具づくりの第一歩は材料選びから”、ということになるのですが‥

 実際に材料の選定や購入を行っている店はほとんどありません。
 
 みんな職人まかせ、職人さんへの丸投げです。

 これまで、仏具の品質は日本人の尊い信仰心によって支えられてきました。

 ところが、信仰心が薄らぎ商業ベース優先となった現代では、よほどの強い信念がないと、販売し易い単に安価なだけの仏具づくりに流されてしまいます。

 わが社が、自社工場を持ち、木地・うるし塗り・金箔押し・組み立てを実際に稼動させるのも‥

 材木やうるし、金箔、さらには道具などの購入や管理、また室(むろ)という乾燥室や木工機械などの設備投資をするのも‥

 こんなリスクを負うのも、一定の品質を保ち京仏具の伝統を守るためです。


赤身と白太 写真の材木‥、

 外側(樹皮側)の白いところを「白太」といいますが、でんぷん質や水分を多く含み、柔らかい部分です。腐りやすくて虫がつきやすく、金具のサビの原因にもなります。

 反対に、中心に近いほうの「赤身」は、堅くて反りや狂いがないことから、この部分だけを使うようにしています。

 仏具をカタチづくり以前に、材料の使い方が重要なこととなります。

 価格の裏側にある別の価値を、どうすればお伝えできるのか、いつも頭を悩ませています。

 この価値が伝わらなければわが社の存在意義がない訳ですからね。


 ところで‥

 私たちは、木のことについては、千葉工大理事・教授、千葉大名誉教授 小原二郎先生の書籍で勉強させていただいてます。

 小原先生は私のおじさんですが、昭和天皇皇后陛下に先生の本である「木の文化」についてご進講されたということです。

 先生の最新の本「木の文化をさぐる」から引用させていただきます。

 千三百年たった法隆寺のヒノキの柱と新しいヒノキの柱とでは、どちらが強いかと聞かれたら、それは新しいほうさ、と答えるに違いない。
 だが、その答えは正しくない。なぜなら、ヒノキは、切られてから二、三百年の問は、強さや剛性がじわじわと増して二、三割も上昇し、その時期を過ぎて後、緩やかに下降する。
 その下がりカーブの所に法隆寺の柱が位置していて、新しい柱とほば同じくらいの強さになっているからである。
 つまり、木は切られたときに第一の生を断つが、建築の用材として使われると再び第二の生が始まって、その後、何百年もの長い歳月を生き続ける力を持っているのである。
 バイオリソは、古くなるほど音がさえるというが、それもこの材質の変化で説明できる。

 仏具づくりの第一歩は材料選びから‥、この意味の奥は深いですね。

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この記事へのコメント

1. Posted by 衣笠山のポパイ   2007年04月10日 01:58
どの産業も基礎的な素材の品質が低下しているようです。

西陣で使用している絹織物でも、ほとんどが中国産ですし、金銀糸でも昔の金属は変質していないのですが、昭和40年頃以降のモノは酸化されやすくなったと聞いた事があります。
工業化によって大気の影響も随分あるようですが、総じて素材の低下は否めないようです。

市場主義が蔓延ると目先の商いばかりが横行し、最近の金融業、保険業、建設業、果ては政界、経済界と枚挙にいとまが無いほどの悪質さにうんざりです。
2. Posted by 小堀 進   2007年04月10日 06:35
ポパイさん、業界は異なりますがよく似てるもんですね〜。
昭和40年頃以降に、金箔の生産方法の転換が始まりました。
あまりにも手間のかかる伝統工法の金箔づくりにかわる量産の金箔です。今ではその金箔が主流となり、日本で生産される金箔の85%が量産金箔です。
仏具のうるし塗りや金ぱくの表面の劣化が早くなったのは空気環境が悪くなったからという人がいますが決してそうではありません。手間をおしんだ量産化の結果ですね。
わが社では伝統工法の金箔を使うようにしていますが、その良さをイチバン判っているのはわが社の社員です。しかしいつかはきっとお客様の目にも違いが判っていただけるだろうと信じ、こだわり続けています。

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